維新期以降、公権力の後ろ盾を失った仏教教団が、戦争を契機に国家との関係を再構築すべく取り組んだ「戦時事業」に着目し、仏教教団〈近代化〉への道程を実証的に跡づける。
目次
序章
第一節 研究史の整理と問題の所在
第二節 研究対象
第三節 本書の構成と各章の課題
【第Ⅰ部 諸制度と「戦時事業」の全体像】
第一章 明治期の宗教制度と仏教教団の動向
はじめに
第一節 宗教制度
第二節 真言宗の動向
第三節 浄土宗の動向
第四節 江戸期と明治期の宗門統制
第五節 社寺創立に関する制度
おわりに
第二章 日清戦争における真言宗・浄土宗の「戦時事業」
はじめに
第一節 真言宗教団の動き
第二節 浄土宗教団の動き
第三節 真言宗における現場・地方レベルの活動
第四節 浄土宗における現場・地方レベルの活動
第五節 日清戦争期「戦時事業」の特徴
おわりに
第三章 日露戦争における真言宗・浄土宗の「戦時事業」
はじめに
第一節 真言宗教団の動き
第二節 浄土宗教団の動き
第三節 真言宗における現場・地方レベルの活動
第四節 浄土宗における現場・地方レベルの活動
第五節 日露戦争期「戦時事業」の特徴
おわりに
【第Ⅱ部 「戦時事業」の具体相】
第四章 近代真言宗の戦死者追弔と組織再編―護国寺忠霊堂建設をめぐって―
はじめに
第一節 忠霊堂の計画
第二節 真言宗各山分離の影響
第三節 忠霊堂計画の変更
第四節 忠霊堂のその後
おわりに
第五章 内務省提出文書から見る仏教教団と国家―浄土宗東京忠魂祠堂建設を中心に―
はじめに
第一節 忠魂祠堂の計画
第二節 東京忠魂祠堂の設立申請
第三節 増上寺山内から芝公園へ
第四節 内務省からの照会
第五節 建設事務規程と計画の変更
第六節 東京忠魂祠堂のその後
おわりに
第六章 浄土宗忠魂祠堂の地域的多様性―その重層的性格をめぐって―
はじめに
第一節 忠魂祠堂計画の方針変更
第二節 各地の忠魂祠堂
第三節 忠魂祠堂の先行研究と事例分析
おわりに
第七章 日露戦争期における仏教界の戦死者追弔とその評価―仏教系メディアを中心に―
はじめに
第一節 祈願と戦死者追弔の要望
第二節 社会評価と戦死者追弔
第三節 キリスト教の台頭と軍隊の仏教排斥
おわりに
終章 「戦時事業」から見る仏教教団の「近代化」
第一節 各章のまとめ
第二節 「戦時事業」の変化と特徴
第三節 忠霊堂と忠魂祠堂をめぐる仏教教団と国家
第四節 「戦時事業」から見えてくる近代仏教教団像
第五節 本書の意義と今後の課題
あとがき/索 引
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